お知らせ

2021年09月01日

茉莉花vol.125-2021年秋号


表紙の絵 「錦風」 イラストレイター もうりめいこさん

茉莉花Vol125秋号が発刊しました。お一人様1冊プレゼントします。
是非お立ち寄りください。 (株)高山清 広島市中区堀川町2-17(仏壇通り)


茉莉花VOL125秋号の内容

ジャータカ物語 「いさかい」

 2羽の小鳥が茂みの小枝で仲よくさえずり合っていました。涼しい風が祇園精舎の林の中の道を吹き抜けていきます。釈尊は午後の散歩を楽しんでいました。
 釈尊が小さな泉の近くまで来た時、なにか争っているような男たちの声を聞きました。近づいてみると、修行僧たちが取り巻いている中で、2人の修行僧が互いにののしり合っていました。どの僧の顔も重苦しく、暗い顔をしています。
「世尊がおいでになった」
1人の修行僧が釈尊に気づいてかたわらに近づくと、他の僧たちも釈尊のもとに集まってきました。
「なにか起こったのですか」
「はい、実は2人の僧が争っているのです。ふとしたことから年輩の僧が若い僧に対して罪を犯してしまいました。年輩の僧はその罪を謝ったのですが、若い僧はいくら謝ってもそれを許さないのです」
「それで、おまえたちが2人の争いを収めようとしていたのですか」
「いいえ、よい考えがないので、ただ2人を取り巻いて見守っていただけです。どうかよい教えをお授けください」
釈尊は、修行僧たちをゆっくりと見渡してから言いました。
「罪を犯しながらそれを認めない者と、その罪を謝っているのに許さない者とは、2人とも愚か者といわれるべきです。
それに比べて、罪を犯してその過ちに気づき、その罪を認める者と、その罪を許すことのできる者は2人とも賢い者とたたえられるべきです」
修行僧たちは、釈尊のことばに身を乗り出しました。先ほどまで争っていた2人の僧も、じっと耳を澄まして聞き入っていました。
「よくお聞きなさい。遠い遠い昔のこと、神々の王である帝釈天は、ほかの神々に次のような教えを説きました」
釈尊はそう言って、帝釈天が説いたという教えをうたにして唱えました。

 怒りの園に 踏み入るな
 友情枯らすな わけもなく
 人をののしる ことばをもつな
 人を引き裂く ことばをもつな
 雪崩が人を のみ込むように
 怒りは人を 押しつぶす

うたを聞き終えた修行僧たちの表情は、はればれとしていました。

四季のうたー コノハズクの お引越し


絵と言葉/ 臂 美恵(ひじ みえ)

仏教こころの旅ー全国の別院・教堂を巡る㉕番外編

嘉禄の法難
専修念仏の弾圧によって法然聖人と親鸞聖人は流罪となられましたが、法然聖人ご往生の後も弾圧は続きました。今回は親鸞聖人が関東にご滞在時に京都で起こった「嘉禄の法難」ゆかりの地を訪ねました。・・・・・・・・・・

心のごちそうさまー 秋なすの豆腐炒め

1.なすは皮をむいて蒸しゆでにし、だし汁(塩、酒、砂糖を煮立たせたもの)につけておきます。
2.豆腐は重しをして、水切りします。
3.1のなすを取り出し、適当な大きさに切ります。
4.鍋に多めの油を引き、熱した油の中に2の豆腐を手でほぐしながら入れ、パラパラになるまで水分を飛ばします。
5.4に赤唐辛子の輪切りを少々入れて混ぜたら3のなすを加えて、しょうゆ、砂糖、酒で味付けして炒め合わせます。
一口メモ
蒸しゆでのなす…鍋になすと水を入れ、煮立たったらふたをし、竹串が通るまでやわらかくなったら火を止めます。他の料理にも手軽に使えます。
指導 : 岡山県成羽町・淨福寺坊守・山下里絵さん。
「淨福寺精進料理」の予約はTEL0866-45-3028へ

茉莉花の部屋(124)

ヤンキーと住職が主人公 漫画で伝える仏教
近藤丸
浄土真宗本願寺派の僧侶で漫画家。浄土真宗本願寺派(西本願寺)公式インスタグラム(@nishi.hongwanji)で仏教漫画「ヤンキーと住職」を好評連載中。Twitter @rinri_y


電子書籍 「ヤンキーと住職」 定価:297円(138ページ)
現役僧侶が描く仏教コメディー。仏教系高校教員の経験をコミカルに描いた「高校の仏教の授業の思い出」など、Twitterで話題になった作品も掲載。amazonやebook japanなどのホームページで購入できます。

くらしの中に生きている仏教語 お彼岸

 阿弥陀さまが建立した世界を彼の岸(かのきし)で彼岸(ひがん)、わたしたちの迷苦の世界を此の岸(このきし)で此岸(しがん)といいます。
 秋分・春分の日は昼と夜とがちょうど半分ずつとなり、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。あの真西に沈む太陽の先に現される仏国土が西方極楽浄土と呼ばれる阿弥陀さまの仏国土です。そして、お浄土を感じつつ、前だって行き生まれた方々を偲ぶのです。そのとき、蒸した餅米を軽く突き崩したお餅をあんこで包んだおまんじゅうをお供えします。
 9月のお彼岸ではお萩、3月のお彼岸では牡丹餅(ぼたもち)といいますね。同じようなお菓子なのに表現が違って風流でなにかうれしいですね。お萩はつぶ餡、牡丹餅はこし餡でこしらえるそうで、保存していた小豆の皮が固いからこし餡にして口当たりをよくするそう。きめ細やかな心遣いがありがたいです。調べていて、そのような違いがあったなんて初めて知りました。
 暑さ寒さも彼岸まで。今年もとても暑い夏でした。来年はどんなお彼岸を迎えることができるでしょうか。此岸にいた私が彼岸に渡っているかもしれませんね。お体ご自愛ください。

心の冒険西遊記 ちょっとしあわせ

染香人:ぜんこうにん:お念仏を喜ぶ人を称える言葉
良い香りに接していると、
知らないうちに衣服や体に染み込むように、
念仏の教えに接していると、知らないうちに
阿弥陀さまの徳にあふれた人生を恵まれる

リレー聞法「敬いと感謝の思い」

真宗大谷派 僧侶 ジェシー釋尼萌海(京都市)
 私たちはつい、自分の力だけで生きていると思い込んでしまい、支えてくださっている人を忘れてしまいます。「ありがとう!」と、感謝の言葉すら言わなくなります。しかし、支えてくださった人がいなくなると、頂いていたことに気付くのです。
 私の母が安楽死で亡くなる前、私は泣きながら母を引き止めました。しかし、母は「私の命だから、あなたには引き止める権利がない!」と反論しました。「自分の命」という主張をした母はおそらく、自分一人の力で生きてきた、と思い込んでいたのでしょう。自分の命だからこそ、自分で自分の死を決める権利があるのは当然だと。
 しかし、私たちは一人で生きていませんし、生きられません。私たちの命は周りの人の命と絡み合い、全ての命はつながっています。ですから、母だけの命ではありません。自分の命は周りの人にも大きな影響を与えています。自分さえよければそれでいい、と自分のわがままな在り方に気付いていないのは本当に悲しいことです。自覚できない限り、慚愧の心も生まれません。
 「今、いのちがあなたを生きている」という考えは、私が僧侶の道を歩むきっかけになりました。母の安楽死は自殺幇助でしたが、その死に方が不自然で、素直に悲しむことさえできませんでした。そこで、「命は誰のものか」という問いに出遇いました。いのちは、私に意識がある前からもう既に存在していました。私の誕生で始まったわけではないですし、私の死で終わることもありません。私が生きていること、いのちあること、そのことが多くの人々によって支えられています。その事実に頭を下げよ、畏れ敬う心を取り戻せと、私を呼びさます言葉であると受け止めています。
 共命鳥(ぐみょうちょう)は、一つの体に二つの頭をもつ鳥です。考え方、生き方が違っていても、そのいのちはつながっているという、仏さまのみ教えを表しています。「全てのいのちの尊さや存在を大切にしあう社会」のシンボルです。
 また、本来は一つであるにも関わらず、自己中心的な考え方を主張することによって、共に害を被るということは、私たちの生活にもあてはまります。自分勝手な思いを押し通すことは、自らを傷つけ、他人をも傷つけてしまいます。人はもちろん、動物にも草木にも大地にも「いのち」があります。このいのちを、遥か昔から脈々と「仏のいのちを継いできたもの」と受け止め、「ありがたい」と、敬いと感謝の思いを込めて手を合わせる心を大事にしていきたいです。
 食事のときに「いただきます」と、たくさんのいのちに感謝をして手を合わせますよね。これも、いのちに感謝し敬う心を行動に表した姿です。お寺で、家庭で、さまざまな場で手を合わせて礼拝するということには、いずれも感謝と尊敬の意味が込められています。
 全てのいのちを「仏のいのち」と受け取り、「ありがたい」と感謝の思いを込めて合掌する、この心を忘れずに生きていきたいものです。
 お浄土の共命鳥は「他を滅ぼす道は己を滅ぼす道、他を生かす道こそ己の生かされる道」と鳴き続けています。

仏教なんでもQ&A

Q 昨年亡くなった父の一周忌を予定していましたが、コロナ禍で関係者が集うことができず、近親者4人のみでの寂しい法事となりました。確かに高齢の関係者が多く、移動も「3密」も懸念されたので仕方ないのですが、来年の三回忌をどうするべきか今から悩んでいます。
(広島市 匿名希望 女性)

A  世界中に広がるコロナ禍で従来の生活様式が崩れ、日本の法事や葬儀もとても小規模化しています。参列者が亡き人を偲びつつ手を合わせお念仏のご縁に遇わせていただく仏事であるのに、お参りの方々が減少してしまうのは残念としか言いようがありません。
 その状況を転じてくれるのではないかと期待されているのがワクチン接種です。もちろん、ワクチン接種で新型コロナウイルス感染症のすべてを防御できるわけではありませんし、若年層においては副反応とみられる症状が生じやすいことも確認されていますが、年配の方々については感染率や重症化率の低減がデータにも表れています。あくまでもワクチン接種の可否は個人の判断で行われるべきものですが、少しずつ人と人の交流を回復促進するためには一定の助力になるものと思われます。
 今後「ウィズ・コロナ」の社会的行動が認知されるようになれば、お寺でのお聴聞や行事も「ウィズ・コロナ」仕様で開催されるようになるでしょう。そもそもお寺は、一般家屋に比して「密」の状況を回避しやすく、検温、消毒、マスク着用などの感染症対策を施せば「ウィズ・コロナ」時代に対応することも十分可能です。お聴聞はもちろん、法事などでお寺を利用することをお考えになってはいかがでしょうか。また、所属のお寺に足を運ぶこと自体も大切な仏縁となるでしょう。

仏教について、皆様が日頃からお持ちの疑問にお答えします。マツリカ編集部「おしえて! ご院さん」係まで、お気軽にお便りをお寄せください。
企画編集 仏教文化情報センター「真宗コア」
〒730ー0033 広島市中区堀川町2ー17 高山清内

万華鏡 ゼロ・ディスタンス

 中国に、ある一人の学生がいた。彼は遠距離恋愛のガールフレンドに会うために、年に2回、電車で10時間もかけて彼女に会いに行っていた。電車はいつもひどい混雑で、立ったまま眠れるほどだった。
 そんな辛い経験をした彼は、離れていてもすぐに会話ができるものがないか必死で考え、ある会社を作った。その学生の名前はエリック・ヤン。彼の会社の名前は「zoomビデオコミュニケーションズ」。誰でも簡単にテレビ会議ができる「zoom」というツールを作った会社だ。ヤン氏は現在50歳、その時の彼女が今の彼の奥さんである。世界的にヒットしたツールを作ったのは、愛する人と話したいという思いの強さだった。
 人を愛する思いは、時として距離を超えていく。しかし悲しいことに、ほとんどの場合、私たちの間には心の距離がある。お互いの苦しみや悲しみを分かち合うことができず、一人で苦しんでいく。さらに今はソーシャル・ディスタンスという形で実際に距離を取らなければいけない。阿弥陀さまが届けてくださった「南無阿弥陀仏」のお念仏は「あなたと共にいるよ」という仏さまの言葉そのもの。お念仏を称えるとき、仏さまと私の距離は、ゼロ・ディスタンスになる。(オンライン僧侶)

Book&Book


『鬼滅の刃』で学ぶ はじめての仏教

松﨑智海/著
 人気漫画「鬼滅の刃」の根底に流れる仏教的要素に着目しながら、普通に読んでいたら気付けない作品の面白さを紹介します。
■1,330円(税抜) 発行/PHP研究所

料理と利他

土井善晴、中島岳志/著
 料理研究家と政治学者。異色の組み合わせの2人が、家庭料理や民藝、地球環境、直観など、縦横無尽に語り合ったオンライン対談を書籍化。
■1,500円(税抜) 発行/ミシマ社

すみっコぐらしの毎日が しあわせになる禅語

サンエックス、武山廣道/監修
 すみっコぐらしと、禅のことば「禅語」のコラボレーションが詰まった1冊。楽しく読めて、生き方のヒントが見つかるキャラクターブックです。
■980円(税抜) 発行/リベラル社

本願でつながった「七高僧」列伝 ㉓

中国編 第五祖・善導大師(613~681)③
『観経』の解釈を正し、真意を・・・・


FROM READERSー読者からのお便り

●夏号の「Q&A」を切り抜き、いただいた法名と一緒に子どもたちに残したいと思い、仏壇にしのばせておきます。
(広島市安佐北区 カッチャン 84歳)

●築地本願寺でいただきました。興味深く拝読しました。
(東京都目黒区 三十郎 51歳)

●「万華鏡」に相田みつをさんの詩があり、「そうだったそうだった」とお念仏がこぼれました。
(広島市安佐南区 女性 90歳)

●「ちょっとしあわせ」を読んで、自分でも思い当たる節があり納得しました。阿弥陀さまはわかってくださる。
(広島県安芸高田市 女性 66歳)

●孫に「ちょっとしあわせ」を読み聞かせをしております。
(広島県呉市 女性 70歳)


家族で挑戦 クロスワードパズル125

【応募方法】
ハガキに、裏表紙のクロスワードパズルの答えと住所、氏名(希望者はニックネームも)、年齢、電話番号を書いて、〒730-0033 広島市中区堀川町2ー17 高山清内 マツリカ編集室まで、ご応募をお待ちしております。ご意見ご感想のみでも結構です。お気軽に、お便りをお寄せください。締切りは10月末日(当日消印有効)。当選者の発表は発送を持ってかえさせていただきます。

正解者の中から抽選で10名様に、創刊100号を記念して制作した「茉莉花 日めくりカレンダー」をプレゼントします。


●冊子タイトルのマツリカ(茉莉花)とは 
現存する最古の経典「ダンマ・パダ」に登場する香り高い花で、すべての方向に薫る徳行にたとえられます。
モクセイ科オウバイ属の常緑小低木で、ジャスミンの一種として広く親しまれています。